「拒否のある患者さんの対応方法で工夫されていることはありますか?」
この間の症例検討会でフロアに投げかけられた質問でした。
介入を拒否をされることはよくありますよね。このときフロアではよく対応方法が検討されていました。その中で拒否の切り口を変えてみるとアプローチが増えると紹介されていました。
簡単にまとめると「拒否をする背景を考えよう」ということです。これが目からウロコの発想でした。
具体的に例をあげて見てみましょう。
リハビリで患者さんの拒否について考えてみる
目次
例:片麻痺の患者さんのトイレ拒否の場合
例えば片麻痺を最近起こした患者さんにトイレ拒否があるとしましょう。 理由を本人に確認したり、状況を評価してみると次のことがわかりました。
・上手く立ち上がれない
・尿意が曖昧でトイレに間に合わない
・手が痛い
・トイレが上手くできないこと自体が不快
アプローチ方法は次のようなところでしょうか。
・上手く立ち上がれない → 立ち上がり練習や装具
・尿意が曖昧でトイレに間に合わない → 時間誘導
・手が痛い → 装具やポジショニング、痛み止めの薬
・トイレが上手くできないこと自体が不快 →小さな成功体験を積み重ねる
スタンダードな方法ですね。 しかし拒否される状況に大きな変化はなく思考が行き止まりになりがち。
そんなときは少し視点を引いてみましょう。
患者さんにリハビリテーションを拒否されるのはなんで?
「拒否をしたい状態」だから「拒否」をする。この可能性を探ってみると糸口がみえることもあります。
自分が患者さんの立場で考えてみましょう。
私が 脳卒中を起こしてしまい半身が動かない状態を考えてみると、正直トイレどころじゃなくて、人のやさしさも不快。先のことを考えるのはきっとツラい。
他人から自分の心を守らないと壊れてしまいそう。発症してしばらくは混乱した心理状態になってそうです。
この場合、トイレに対するモチベーションはとても低いでしょう。
つまり拒否する根本にモチベーションの低下が考えられます。
極論ですが動作が出来ない、尿意が曖昧はトイレが「できない」理由にはなりますが、トイレを「拒否」する理由にはならないのです。
リハビリ拒否の背景から考えてみる
「拒否」だけではなく「モチベーション」にアプローチすると思うと、出来ることが自然と増えていきませんか?
例えばアプローチはこんなかんじでしょうか。
・生活史や趣味趣向を探って人物像をハッキリさせる → 以前から頑固な父親とお話あり。そもそも人の手を借りるのが嫌い。
・先行きの不安が解消できるように本人、家族と向き合う → 妻に情報確認。夫に前向きになるように話して口論になっている。
これでモチベーション低下がさらに掘り下げられ、対策がより具体的になっていきます。
・人の手を借りたくない → 自分で尿器でトライはどうか?
・妻と口論 → 夫と妻の訴えを整理。及第点を探して目標設定をする。
まとめ
拒否で行き詰まったら少し引い考えてみましょう。
論理的に考えてでてこないときは、患者さんの立場に立つと糸口が見えてくることもあります。