上腕二頭筋腱長頭を切離したあとの癒着とポパイサイン

今回は上腕二頭筋腱長頭を切離したあとの癒着のお話です。

上腕二頭筋の長頭は傷みやすく部分です。Drに話を聞くと損傷した長頭腱は結節間溝の部分で擦り切れ、毛羽立ちっているそうで肩の痛みを起こす一因となっているそうです。ですから他の肩OPEのついでにバッサリ切離してしまうことがあります。

これには2つの理由があります。

1つ目は整形外科的には長頭がなくても機能的に大きな問題がないされる教科書的な理由、2つ目は経験的には損傷してつながっているぐらいなら切離した方が後々の痛みの訴えが軽減するという経験則です。

なので基本的には長頭切離後の痛みは起きづらいのです。

しかし今回担当したARCR(鏡視下腱板縫合術)のときに長頭を切離した症例さんは、長頭部にチクッとした運動時痛が半年近く残っていました。特に脱力した状態から挙上開始時に代償的に上腕二頭筋が働いた際にまれに出現。

原因はどうやら切離した長頭が結節間溝で癒着してしまい機械的な牽引ストレスで痛みを起こしているようでした。

image411

長頭を切離しているのにpopeye sign(ポパイサイン)がでてない

上腕二頭筋腱の断裂ではpopeye sign(ポパイサイン)という有名な兆候でます。力こぶが下にズレてしまうアレです。しかしこれが、確認できない。もしくは切離してるのを知ってるから分かる程度なんです。

これは結節間溝部分で癒着しているため筋腹が下に移動できていないと判断しました。分かりやす兆候なので、最初は切れていないのかと思うくらいでした。

切離してから4週間近くの固定期間があった

この方、ARCR(鏡視下腱板縫合術)のときに長頭を切ったため4週間ほど肩外転装具で日常生活は固定されていました。この間、肘関節は1周目よりROM-exを許可されています。

しかしメスが入った組織は瘢痕化して周囲と癒着しやすくなるため、十分に気をつけないとトンネルでくっついてしまう可能性があります。

追記 2016.3.3

急性期の担当スタッフに話を聞くと、初期はポパイサインは確認出来ていたとのこと。次第に癒着したようです

改善した方法

単純です。癒着は超音波と徒手でひっぺがす。

少しづつ剥離が進んでいくと、ほとんど触れることの出来なかった長頭腱(太さ5mmくらい )をつまむことができました。popeye signが陽性に変化してきています。

徒手で摘んでグイグイ剥がして、超音波で少し浮かせる。そしてまた徒手で剥がすを繰り返しました。すると痛みの再現部位は結節間溝トンネルを登って行くように近位に変化。さらに続けると治療による局所的な発赤は当然残るものの(申し訳ありません、、)患者さんの挙上時の痛みの訴えは大きく改善しました。

activeも試してみたのですが切離しているため十分なテンションが伝わりませんでした。触れるのも難しいくらい癒着している場合はpassiveがやりやすいですね。

まとめ

長頭を切離して固定期間のある患者さんでは癒着が起こってないかチェックしましょう!でないとactiveを開始したときに、謎の痛みが残存してしまうかも。

参考にしたHP

肩関節の痛み