TKAの種類と特徴
よく使用されるものは2種類あります。
CR型(非制御型)、PS型(半制御型)の2つです。
それぞれ
CR(cruciate retaining 直訳で十字を保持する) ACLは切離、PCLを保存します。
PS(posterior stabilized 後方安定) ACL、PCLともに切離します。
制御と書いているのはどれくらい人工関節側で関節の動きをサポートしているかです。ACLやPCLなど膝の主要靭帯をとっているため心配になりますが、ポリエステルで作られたインサートの形状などのサポートのおかげで膝は生理的な運動に近い形で動いてくるので大丈夫です。
このほかに髄内釘を含んだ拘束型(大きく骨欠損がある場合などに使用)があります。
前の記事に書きましたが膝の屈曲にはロールバックが必要です。これの主役がPCLでしたね。
それでTKAではどれくらい曲がるかが重要視されてきた歴史があり、もちろんPCLに注目が集まったわけです。
適応と歴史
適応としては若い人でPCLの強度が保たれている方はCR型、高齢で強度がない場合はPS型を使用します。
PS型が60%、CR型が30%、CS型が10%程度のシェアです。
TKAの歴史は蝶番関節タイプから始まりました。単純な屈伸しかできないものです。これは現在の拘束型のご先祖様で、1970年くらいまで使われていました。
今から見ると古いのですが最初は人工関節に金属を使ったこと自体が画期的でした。
しかし拘束型は大きく切るから感染を起こしやすいし、膝の回旋でつなぎ目が緩んできてしまいがちです。
ではどうしよう?となって骨は大きく削らず銀歯みたいにかぶせるタイプのCR型とPS型のご先祖ができました。
この二つは螺旋関節を機能的に模して回旋を許した形に進化していきました。
最近ではもっと進んで低侵襲で手術を行手術方法のMISTKAが考られたり、単顆型のUKAが実施されています。
どこまで曲がる?
TKAにとって可動性を上げることは脱臼しやすくなる(現在はほとんどありえませんが)ことにつながります。
まず除痛ができること、ゆるまず安全に使用できることが前提にあってから、便利にするために屈曲が追求されはじめました。
最初から屈曲を重視していたわけではないのですね。
ですから脱臼の危険を少なく可動性を向上することができたのは最近のようです。
角度は良好な成績の場合120度くらいが一般的です。PS型≧CR型で曲がりが良い傾向です。
またCR型の最新タイプの理論値では正座が可能ものまででてきており、実際に可能になる方もいらっしゃいます。
最新タイプでもPSタイプやCSタイプは構造的に正座は難しいようで、特にPS型ではポストの脱臼の危険があり140度以上は禁忌とされることもあるようです。
TKAをどこまで曲げてよいか確認するために、採用されいている型をDrに確認しおくとよいでしょう。
勉強するならこの本がオススメ
下肢の整形疾患に関わる前に必ず読んで起きたい本。TKAの要点もしっかり抑えています。
整形DrがTKAを実施するためのマニュアル本。本質を知りたい方にはオススメ。
コスパよく人工関節を勉強するなら、この本はとっても優秀。学生がきたときもコレで勉強してもらってます。
参考にした文献、HP
人工膝関節置換術[TKA]のすべて−安全・確実な手術のために
整形外科医のブログ TKA: PS・CR・CSタイプ間の違いhttp://seikeigekai.org/archives/28881802.html
辻整形外科クリニック 人工関節 http://www.jinkoukokansetsu.com/tsuji/implant.htm