UKAとはUnicompartmental Knee Arthroplastyの略で人工膝関節単顆置換術のことを指します。人工膝関節の手術ではシェア5%と少ないです。
TKAは内顆、外顆ともに置換しますがUKAでは障害された片方だけを手術します。このため膝関節の2/3は温存されることにないり低浸襲で済むため生理的運動を保てるのがメリットです。
UKAの適応と特徴
適応は?
活動性が低い方、再置換の必要性がない年齢など一般的な人工関節の適応にプラスして、内側もしくは外側型のOAや突発性膝関節骨頭壊死など局所的な問題が適応になります。
なので関節リウマチなどの炎症性膝関節疾患は適応になりません。これはTKAと違ってACLの健常性が重視されることや膝蓋大腿関節の変性には対処できないことが関係しています。
PCLもACLも温存される
TKAとUKAの侵襲でもっとも違う部分はACL、PCLがともに温存されることです。TKAではACLは切離、PCLは保存もしくは機能的に代償するのが一般的なのですがUKAではACL、PCLともに保存されています。
「自然な関節に勝る人工関節は存在しない」と当院のDrが話されていましたが、靭帯が保存されているため自然な動きが可能となり比較的良好な可動域を得ることができるとされています。
望月ら(2013)はUKAが健常膝運動にどれくらい近いかを調べるため、術前・術後の膝関節屈曲の大腿骨外旋角度を比較しています。
これによると外旋角度は以下のようになりました。
健常膝 > 術前患側膝 > 術後患側膝
つまり大腿骨のMedial pivot motionはある程度再現されているものの、侵襲による軟部組織の緊張変化や関節面の接触状態、下肢アライメント変化を受けて関節内運動の完全な再現は難しいようです。ROM-exの際は注意したいですね。
画像出典:人工膝関節を入れてスポーツは出来るのか?
予後は?
術後の歩行時の痛みの消失や1km以上の歩行が可能になる、膝関節完全伸展が可能になる症例が多いなど良好のようです。
参考文献
福岡慎一,膝関節の一部を置換する人工膝関節ー人工膝関節片側置換術とは?ー
岩本幸英(編),神中整形外科学,南山堂,PP1087,2013.
勝呂徹(編),井上一(編),人工膝関節置換術TKAのすべて,メジカルビュー社,pp263-270,2007.