ハトの頭がカクカク動く理由とオプティカルフロー

鳩

ハトの歩行の特徴といえば頭をカクカクと前後に振ることです。なぜ彼らは頭を振るのでしょうか?理由は眼の向きと眼球運動にあります。

人間の目は前向きについていますがハトは横向きです。これは馬などの草食動物と一緒で捕食者に食べられないように視界を広くとっているためです。しかしこれには思わぬ副作用がありました、前に向かって歩いたときに風景がどんどん後ろに流れていくのです。

オプティカルフローってなに?

電車

移動をすると私たちの目は景色が動いて見えますよね、これはオプティカルフローもしくはオプティックフロー(動的視覚情報)とよばれています。他の運動感覚と合わせることで自分や物体が移動していることを知って運動の調整に利用される情報です。前向きにまっすぐ歩けるのは視覚と歩行感覚が一致しているからです。

だけどうまく利用できない場もあって自動車教習で高速走行は周辺視野が狭くなるよ〜と教えてもらったと思うのですが、流れる景色が速くなるとオプティカルフローから得られる情報は少なくなってしまうのです。つまりハトは横向きに目がついているため歩くと景色が速く流れてしまい、うまくオプティカルフローを利用できないのです。

電車に乗っているのを想像してください。車窓から見える風景は進行方向に対して横を向いているので、どんどん後ろに流れていきます。ハトの視界と同じ状態ですね。

しかし新幹線でもない限り動く車内から可愛い女の子がいたら注視することができますよね?人間は流れる風景の中でも目を動かすことで一瞬視野を固定することできます。しかし鳥類は眼球運動がほとんどできないので可愛い女の子を通り過ぎても目で追うことができないのです。これは困りました。

ハトはなんとかならないかと頭を抱えて悩みました、そして閃いたのです。「首ごと振り返ればいいじゃん!」と。つまり頭を風景全体に固定することで視界を安定させたんですね。これなら首を動かす一瞬意外は視界を固定できます。実は歩きながら頭を振っているのではなく頭を空間に固定しながら歩いているんですね。

ハトの頭を振らせないようにするには?

ルームランナー

オプティックフローが得られない状態ではハトは頭を振りません。具体的には目隠しをする、暗闇を歩かせる、ルームランナーに乗せるなどするとカクカクと頭を振らないそうです。ルームランナーの上をハトが歩いている姿を想像するとシュールな絵ですね。

参考にした文献、HP

鳥類学者無謀にも恐竜を語る 川上和人 オススメ!

運動支援の心理学 知覚・認知を活かす 樋口貴広

身体運動学 知覚・認知からのメッセージ 樋口貴広、森岡周

MARKの部屋 鳥類の眼

ハトの首振りを止める方法