疲労の正体ってなんだろう?
著者は「すべての疲労は脳が原因」と言い切っています。
疲労本ってジャンルを知らなかったので、とても興味深く読書させていただきました。
疲労と少し上手く付き合えるかも?そんな気になる一冊です。
まずは著者の梶本修身先生のご紹介です。
医学博士。大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。一九六二年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。二〇〇三年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。ニンテンドーDS『アタマスキャン』をプログラムして「脳年齢」ブームを起こす。著書に『間違いだらけの疲労の常識 だから、あなたは疲れている!』『最新医学でスッキリ! 「体の疲れ」が消える本』他。
梶本先生は疲労に関する研究を長年続けており、近年は臨床への還元を目指されています。
この本の内容は、この経歴にかかれているプロジェクトで得られた知見が、一般向けに分かりやすく書かれているわけなんです。
疲労はどうして起るのか
まず疲労の定義から。
日本疲労学会で「一般に運動や労力などの身体作業(運動)あるいはデスクワークなどの精神作業負荷を連続して与えられたときにみられる、身体的あるいは精神的パフォーマンス(作業効率)の低下減少」とされています。
わからん。具体的にはどうでしょう。
具体的には、「思考力が低下する」「刺激に対する反応が鈍くなる」「注意する力が衰え、散漫になる」「動作が緩慢になる」「行動の量が低下する」という変化であり、さらには「目がかすむ」「頭痛がする」「肩こりが起こる」「腰が痛い」などの症状を言います。誰しも思い当たることでしょう。
分かりやすい。
たしかに働いてると最後の方の患者さんは、思考力が低下して、統合と解釈がおろそかになりがちかも、、、
核となる疲労がなぜ起きるかはこちら。
ヒトは、運動を始めると、数秒後には心拍数が上がり、呼吸が早く大きくなります。
また、体温の上昇を抑えるために発汗します。それを秒単位で制御しているのが「脳の自律神経の中枢」と呼ばれる視床下部や前帯状回なのです。
運動が激しくなると、この「脳の自立神経中枢」での処理が増加しますその結果、脳の細胞で活性酸素が発生し、酸化ストレスの状態にさらされることでさびつき、本来の自律神経の機能が果たせなくなります。これが「疲労」が生じている状態、つまり「脳疲労」です。そして、ヒトは、そのときに「体が疲れた」というシグナルを眼窩前頭野に送り、「疲労感」として自覚するのです。
このように疲労とは、
自律神経系への過負荷による脳疲労が原因のです。
筋疲労も生理的な機能低下というより、壊れないように脳が疲労感を与えているという見方が正しいそうです。
疲労の原因物資は乳酸ではなく活性酸素
疲労の原因物質といったら乳酸ですけど、こちらは医学界で否定されていると著書は書いてます。
これの元になったのが1922年のイギリスの研究で、カエルの筋肉をとりだして電流を流したらパフォーマンスが落ちて、乳酸が溜まってましたよ。という研究なんですけど、
近年の研究ではマウスに乳酸を打ち込んでも、平気で走ってるし違うんじゃない?という反証が続々とあがっているそうです。それどころか乳酸は糖質の分解やエネルギーの再利用に働きます。
ではなにが原因か?といったら活性酸素が近年の答えそうです。
詳しい説明は本書をみて欲しいのですが、脳の酸化ストレスにいかに対抗するかが疲労回復や予防のポイントになります。
疲労のオススメ対策法は睡眠、鶏胸肉、森
本書がおすすめする疲労回復の重要な3つのポイントをご紹介しましょう。
まずは睡眠。
脳疲労が疲労感の原因なので、休めることが重要になります。そりゃそうだ。
なので十分に質の良い睡眠がとれない、睡眠時無呼吸症候群の方は疲労感を日常的にかかえやすくなります。
この解消にはCPAPが有効。ちゃんとつけましょう。
次に食事。
疲労回復物質は色々言われてますが、実証されている中でオススメは鶏胸肉だそうです。
抗酸化成分をたっぷり含んでいるので、コンビニサラダチキンがいいとか。
あとはクエン酸を含むレモンも高強度の運動後の回復にエビデンスありです。
最後はゆらぎ。
ランダム性といいますか、人間はある程度の不規則なリズムに心地よさを感じます。
自宅で原稿を書くより、カフェの方が集中できるみたいな話でしょうか。
あれって脳疲労に効いてるのかもしれませんね。