肩の亜脱臼に使える装具「オモ ニューレクサ」をつけてみた。

オモニュークレサ

 

画像出典:ottobock. オモ ニューレクサ(5065)商品ページより

片麻痺の亜脱臼につかえるオットーボック社のオモ ニューレクサ(5065)をお借りしたのでご紹介します。

以前の片麻痺の肩の亜脱臼の装具適応にも書いたのですが、肘関節伸展位でも肩甲上腕関節を牽引できるので屈曲共同パターンを不用意に助長しなくて済みます。実際に亜脱臼のある患者さんに装着して頂いたのですが「腕がぶらぶらしないし、いいかも?」と好感触のお言葉を頂きました。

しかし人に紹介するにはまず自分が使ってみないとうまく説明できませんよね。

なので装着感も気になるし自分も着けてレビューとしてまとめることにしました。購入を検討される方の参考になれば幸いです。

肩の亜脱臼に使える装具 オットーボック社 オモニューレクサ(5065)のレビュー

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届いたときの箱はこちら!

けっこう大きめの箱でiPadを縦に1.5個並べたくらい大きさがあります。裏面にはいろいろな国の言葉で「肩装具」と書かれていて世界各国で販売されているようです。

気になる価格を義肢装具士さんに聴いてみると、患者さんが購入する場合は約3万8千円とのことでした。なので3割負担なら約1万2千円で購入できます。

内容物はオモニューレクサ(肩部分)、オモニューレクサ(前腕部分)、予備部品とベルト類、説明書2枚が同梱されていました。

オモニューレクサはどこで作ってるの?

生産国はMade in Estoniaとあり、エストニア製です。あんまりイメージがわかない国なので場所を調べてみました。

エストニア

画像出典:GoogleMap

エストニアの場所はこちらです。フィンランドの下なので寒そうなですねー、産業はIT企業が盛んでSkypeが作られた国だそうです。

ヨーロッパは福祉が充実しているし、寒い国はモノ作りが得意なイメージなので装具も種類が豊富なのかもしれませんね。

実物の写真はこちら

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右肩用の表面です。

カタログでは見えなかったのですが裏地が鮮やかな赤色になっています。他にも色があるんですかね?

装着の際はまず写真の緑線で示している上腕部分を固定するベルトを締めます。赤色のラインが肩峰の少し下くらいにくるように調整するのがポイントです。

次に腋窩にベルトを通して上方へ牽引力を掛けます。この時に赤ラインが肩峰上にくるように調整すると亜脱臼をうまく矯正できるようになっています。

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上腕の固定部分はよく付け外しをするためか、エナメル素材で補強されています。

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前腕部分はボタン式で外せるようになっています。かなり固めにつけられているので付け外しの際は壊しそうでドキドキします。

前面のボタンは赤色、後面は金色となっていて前後つけ間違いが無いように工夫されています。

この前腕部分はベルトの補正で回外方向に誘導できるようになっており、前腕回内→肩関節内旋、前方突出→肩甲骨下方回旋→亜脱臼とならないようにアライメント補正を補助することができます。

しかし肩部分だけでも結構な補正力があるので、亜脱臼が肩だけでなんとかなって着けづらさや重さを感じる方には前腕部分はなくてもいいのかな?と思いました。

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裏面はこんな感じです。

パッと見るとタグみたなのが気になりませんか?内側の方が目立たないのになーっと思ったのですが、これには裸で付けるのを想定しているためと思われます。

紹介動画では外人のモデルさんが裸でつけており、裸か薄い下着の上に装着することを想定していると思われます。なので内側にタグがあるとザラザラして気になってしまうのではないでしょうか。

しかし下着の上からだと着る服が限られるのであまり現実的じゃありませんよね。なのでやっぱ目立たない場所にタグを変えて欲しいですね。

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予備部品とベルト類はこちら。前腕ベルトのロング版とちくわ状の胸郭当ての予備とシリコンパッドが入っています。

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前腕ベルト(ロング)の下にある赤いのがシリコンパッドです。サイズは100円玉より少し大きいくらい。

これはローテーター・カフ付近にマジックテープで固定できるようになっていて、説明書には以下の通りに紹介されています。

このパッドの機能は、固有感覚の受容器を刺激する「固有受容性神経筋促通手技:PNF法(運動療法の一 種)」を応用したものです。使用する場合には、適切な指導のもとで活用してください

装具にPNFの概念を取り入れているのが面白いですよね。

義肢装具士さんからは「私はちょっとよくわからないんですがこんなのもありますよ」と教えて頂いたのですが、リハビリ職種には感覚を刺激して改善するって概念は馴染み深いですよね。

インソールのようにアライメント調整に一役買ってくれそうです。

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亜脱臼に使える肩装具を実際に30分ほどつけてみた。

2〜3回人につけたあとに自分一人で装着してみたのですが、一人装着は難易度が高いです。

そもそもセラピストが装着を補助するように作られているようなので、片手で自分に装着しにくくても仕方ないかもしれません。

患者さんが在宅生活でも使うなら自分で装着できたほうが良いですが、初回に調整をしても片麻痺の患者さん一人での装着は結構な練習が必要そうです。

動かしてみると

キチンと装着すると肩部分だけでも結構牽引されている感じがします。前腕部分もつけると回外方向へ誘導されるので補正されている感じが増しました。

可動域は肩関節の外転や屈曲は制限されるので装着上肢を使っての作業は限らそうです。なので椅子に座って机上作業は少しやりづらかったですが、おしりを拭くような結帯動作系は制限がかからずに行うことができました。

30分経過すると、、

左の胸郭で支持をしているため苦しいほどではないのですが、呼吸のときに押さえている部分が十分広がらない感じがします。

あと右上腕を締め付けられるので少し手が冷たくなってきました。上腕の締め付け具合は血流も考えて調整しないいといけないかもしれません。

まとめ

海外向けに作られているので少し大きな方が適応で、また一人で付けるのはなかなか難しいので誰かにつけてもらえる状況で使うのがよさそうです。

亜脱臼の補正力の高さと肘伸展位で補正できるメリットは大きいので、お困りの方にはできれば使いたい装具です。機会があればDrと義肢装具士さんに相談して試してみて下さいね。

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参考文献、HP

オモ ニューレクサ – ottobock

エストニア – Wikipedia