前回は皮質脊髄路を確認してみましたが、今回は感覚の経路をチェックしてみましょう。
ここではわかりやすくするため精細な触覚を「触覚」温痛覚と粗大な触覚を「温痛覚」とします。
ここでは精細な触覚を伝える内側毛様体系と温痛覚と粗大な触角を伝える外側脊髄視床路系についてふれてみます。
まずは感覚の経路は上行性なので運動の経路と逆に下からたどってみましょうか。
触角と温痛覚は中枢レベルで次のような経路をたどります。
内側毛帯系(触角)外側脊髄視床路(温痛覚)→橋→中脳→視床→放線冠→中心後回
この経路のどこかをやられてしまうと感覚障害がでてしまうわけです。次はCT画像の絵で確認してみましょう。
脊髄視床路の経路の覚え方!頭部CTで順番に覚えていこう
目次
感覚線維を追ってみよう
橋レベル
触角には緑色、温痛覚はピンク色をつけています。
触覚は橋の中央にある横長の内側毛帯(緑色)を通り、温痛覚はその外側の脊髄毛帯(ピンク色)を通ります。
アップにするとこんな感じです。前回確認したとおり皮質脊髄路は前方の赤い部分を通っていて、この後方に感覚の経路があります。
中脳レベル
触角は中脳の大脳脚の下側の内側毛様体(緑色)、温痛覚は内側毛帯の後外側(緑色)を通ります。後外側って下丘腕あたりなのですが、正確な記載をみつけられなかったです。
中脳のアップです。ミッ○ーの耳の境目あたりを触角が通り、もみあげ?(そんなものありましたっけ?)あたりを温痛覚がとおります。
モンロー孔レベル
触覚と温痛覚は視床に入り、ニューロンを変えて内包後脚に神経繊維を送り出します。ここからは2つをあわせた感覚の経路として記載します。
まずは視床へ
触角と温痛覚はともに視床の後腹側核(VP)に入ってニューロンを入れ替えます、ここには機能局在が見られ視床後内側腹側核(VPM)には顔面(緑色)、視床後外側腹側核(VPL)には上肢(青色)、体幹(黄色)、下肢(赤色)と分布しています。
このVPLが損傷されると10%程度の割合で有名な視床痛が見られます。残念ながら機序は不明だそうですが、要チェックです。
視床は全部で12個のブロックでできていて、凹んだ卵みたいな形をしています。
感覚だけでなく感情や記憶、運動制御etc…と場所によってさまざまな場所に情報を中継、投射しているので視床が障害を受けている場合はどこの核が障害されているか確認するとよいでしょう。
こういうのをチェックするときに脳科学の詳しい本が役立ちます。
つぎは内包後脚へ
運動繊維と同様に皮質に向かって上視床放線となり内包後脚を通過していきます。
同じ内包後脚でも通る部分は皮質脊髄路と重なる部分とそこからさらに下側まであり、頭部、上肢、体幹、下肢と並んでいます。
半卵円レベル
側脳室の横を線維がひねりながら通過して中心後回に向かいます。
ピンク色のラインが中心溝で、後方には感覚の機能局在があり運動線維と同様にこのレベルから顔面の領域を確認することができます。
皮質レベル
中心後回にたどり着いて終了です。
まとめ
運動線維と違って2本の経路を追ったので少しややこしかったですね。
前回も書きましたが臨床症状と矛盾していないかチェックすることが大切で、特に神経の密集している内包や視床はどこが損傷しているか細かくチェックしてみましょう。
参考文献
脳卒中理学療法の理論と技術,メジカルビュー社,pp306-308,351,2013.
吉田 隆,脳単(ノウタン),エヌ・ティー・エス,2005.
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