画像引用:総編集 鳥巣岳彦ほか,標準整形外科学9版,医学書院,pp.509,2005
大腿骨距ってご存知でしょうか?
通称カルカ(femoral calcarからとってる)と呼ばれていて、
大腿骨頚部骨折や転子部骨折の手術の固定方法の話を少し調べていると、
「大腿骨距」という聞きなれない名前にぶつかることがあります。
Adams弓なら聞いたことあるかもしれませんね。
この2つは同一のもので、大腿骨の頚部から骨幹内側の厚い強固な骨皮質のことを指します。
新生児期には見られないことでも知られており、歩行などによる荷重負荷が加わることで形成されると報告されています。
ココは整形外科的には重要なポイントで、
OPEで大腿骨頸部骨折や転子部骨折の安定した固定を得るためには、ネイルやスクリューを大腿骨距に沿って挿入しないといけないとされています。
以前紹介した宇都宮分類もカルカがキレイに合わせっているかどうかの分類とも言えるでしょう。
大腿骨距の3次元的なイメージ
整形外科的には重要なポイントなのですが、今ひとつ知名度にかけますよね。
なので調べても情報が少ない。
手に入ったなかでは、CTで3次元的に構造を理解しようと試みている文献を2つほど発見しました。そちらの抜粋がコチラ。
共通言語として、少しだけ知っておくといいのではないでしょうか。
大腿骨距(femoral calcar)は,大腿骨頸部内側か ら骨内部に向かって垂直方向に突出する高密度の板状 構造であり,既に1870年代に報告されている1).ま た,大腿骨近位部骨折の手術療法において,安定した 骨性支持が得られるネイルやスクリューの刺入部位あ るいは荷重伝達部として重要である2,3)
文章および画像引用:小松ら他、大腿骨距の3次元構造―マルチスライス CT における観察―,2011
参考にした文献、HP
小松ら他、大腿骨距の3次元構造―マルチスライス CT における観察―,2011
総編集 鳥巣岳彦 他,標準整形外科学9版,医学書院,pp.509,2005
小林真一 他、大腿骨距とその周辺骨梁の3次元構造-肉眼解剖とマルチスライスCT(MSCT)による解析,解剖学雑誌 86(2),pp.53-53, 2011.