上腕二頭筋の触診

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上腕二頭筋の概要

上腕二頭筋は2つの頭部を持つ紡錘状筋、肩から橈骨・尺骨をまたいで付着しています。力こぶを作る筋なので一般の方にも馴染み深いです。

このため肩甲上腕関節や腕撓・腕尺関節だけでなく、上橈尺関節にも影響を与えます。

上腕二頭筋腱長頭は断裂しやすく、ポパイサインで有名ですが、断裂例では健側に比較して肘屈曲筋力が10〜15%低下、回外筋力は2%低下するとされています。

長さ張力曲線の関係上、肩関節伸展位での上腕二頭筋の収縮は強い力を発揮できるため、筋力低下をおこした場合のトレーニングに有効です。

肩甲上腕関節の安定化作用で、上腕二頭筋長頭をみた場合、棘上筋の走行と近似しているので、動的安定性に重要であるとされています。

英名のbiceps brachilのbiは「2」表す接頭辞で、brachilはラテン語で「腕」を表すbrachiumuの属格。

しばしば過剰頭がある場合があり、日本人では約20%ほど確認されています。

多くは第三頭持っていますが、第六頭まで確認されています。

上腕六頭筋とか、どういうことですか、、、

上腕二頭筋の詳細

和名上腕二頭筋
英名Biceps Brachil
起始(長頭)肩甲骨関節上結節

(短頭)烏口突起

停止橈骨粗面、前腕筋膜
作用肘関節屈曲、前腕回外、肩関節屈曲、肩関節外転、肩甲上腕関節の安定化
支配神経筋皮神経 C5、C6
支配血管腋窩動脈、上腕動脈
形状紡錘状筋
筋連結円回内筋、大胸筋、上腕筋、腕撓骨筋、橈側手根屈筋、長橈側手根伸筋、広背筋、長掌筋、尺側手根屈筋、総指伸筋、小指伸筋、小指対立筋、烏口腕筋(短頭)、大胸筋(肩関節包)、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、上腕三頭筋、小胸筋
触診上腕二頭筋は筋腹、遠位、長頭腱が触診可能

触診の手順

赤色:上腕二頭筋

緑色:烏口腕筋

青色:三角筋、大胸筋

黒色:烏口突起、鎖骨、胸骨、第5肋骨

書き方と全体像

まず烏口突起と、大結節、小結節を書きます。

次に停止部の広がりを意識しながら、上腕二頭筋の遠位部を書きます。

上腕二頭筋は結節間溝と烏口突起から始まりますが、三角筋と大胸筋に覆われているため直接の触診は困難です。

なので画像をもとに仮想線をイメージしてもらって、筋腹を触診します。

すると2つに分かれている筋腹ととも長頭と短頭が分かるとおもいます。

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回外、肘屈曲で上腕二頭筋と強く収縮させると、触診しやすくなります。

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屈曲・内転をすると、烏口腕筋を触診できて、上を走っている上腕二頭筋短頭と区別しやすいです。

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上腕二頭筋のアップ。意外と筋腹もしっかり割れているんですよ。

dsc01795停止部は二股に分かれています。

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結節間溝を触診すると、コリコリとした上腕二頭筋長頭が分かります。

ここって腱板損傷に合併して切れやすいとこです。

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烏口腕筋と上腕二頭筋短頭と三角筋と大胸筋の境目。

烏口腕筋が最下層で重っているので、収縮をさせて触り分けをするのがオススメです。

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参考文献;

監訳 山崎敦ほか,オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学 原著第2版,2012.

編集 鈴木重行,ID触診術,2005

編集 河上敬介,磯貝 香,骨格筋の形と触察法.2013

監修 河合良訓,肉単(ニクタン)〜語源から覚える解剖学英単語集〜.2004