上腕筋の触診

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上腕筋の概要

上腕筋は上腕骨遠位部に広い付着部を持つ羽状筋で、上腕二頭筋の深層に位置し上腕骨の前面を覆う筋です。

広い付着部で停止しており強力な力を発揮することができます。

作用は肘関節屈曲のみ、回内・回外には働かないとされています。

また単関節筋のため肘関節のみに作用します。

このため肘関節の拘縮に上腕筋が関与しているかどうか肩関節の肢位を変化させることで分かります。

上腕筋の詳細

和名上腕筋
英名Brachialis
起始上腕骨前面の遠位1/2ー2/3ならびに内・外側上腕筋間中隔、肘関節包の前面
停止尺骨粗面と鈎状突起の遠位部
作用肘関節屈曲
支配神経筋皮神経C5-7、外側部は橈骨神経C7が多い
支配血管下尺側側副動脈
形状羽状筋
筋連結三角筋、烏口腕筋、上腕三頭筋
触診上腕筋は上腕二頭筋の深部に存在するため、上腕二頭筋が細くなった遠位部で内側部、外側部を触診可能。前腕回外・肘関節屈曲位が弛緩するため触診しやすい。

触診の手順

赤色:上腕二頭筋

緑色:上腕筋

ピンク色:円回内筋

黒色:大結節、小結節

書き方と全体像

まず、大結節と小結節を書いて、三角筋の縁取りをします。

次に上腕二頭筋を書きます。書き方はコチラをご参照。

その上腕二頭筋の深層に、上腕筋があります。なので二頭筋の筋腹の周囲を触診していくと縁がみつかります。

まず上腕筋の外側縁から僕は書きました。

三角筋中部繊維の下、上腕三頭筋と二頭筋の間にあるので、よく探すとわかります。

そこから、二頭筋停止部方向の分かれ目まで書いていきます。

内側は厚い二頭筋の筋腹があるので、収縮をしながら書くと良いでしょう。

最後は、三角筋の下端を目安に横に繋がる想定線を書いてつなげましょう。

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アップ。ほとんどは上腕二頭筋の下に隠れています。

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上腕筋の外側縁は触診しやすいです。

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上腕二頭筋と上腕三頭筋のあいだに、上腕筋の外側縁があります。

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上腕二頭筋の筋腹が厚くて内側縁は探すのに苦労しました。

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こんな風に回内位での屈曲で、上腕筋の収縮が促されるので活用して内側縁を触り分けましょう。

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がっつりと親指を引っ掛けてます。少し痛い。

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停止部のエッジは分かりやすいかと思います。

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触診のためのオススメの本はコチラ

参考文献;

監訳 山崎敦ほか,オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学 原著第2版,2012.

編集 鈴木重行,ID触診術,2005

編集 河上敬介,磯貝 香,骨格筋の形と触察法.2013

監修 河合良訓,肉単(ニクタン)〜語源から覚える解剖学英単語集〜.2004