インフルエンザを少し詳しく知ろう「ワクチンと薬」

パンデミックは2009年メキシコから

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インフルエンザにはA,B,Cの型があります。A型が感染力がとても高く2009年にはパンデミックとして世界的に流行しました。発祥はメキシコで抗原の形が大きく異なるため新型インフルエンザと呼ばれましたが、幸いに致死率が低く大事には至りませんでした。

しかし1918~1919年にはインフルエンザはスペイン風邪とよばれ世界中で6億人に感染を起こして約5000万人の命を奪った病気です。医学の進歩により亡くなる確率は低くなったとはいえ注意が必要です。

なので流行前に予防に大切なインフルエンザワクチンと薬について調べてみました。

ワクチンと卵

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ワクチンは弱った抗原を入れて体に抗体を作る役割があります。白血球にウィルスの指名手配の写真を渡して働きやすくするようなものです。

ワクチンは鶏の卵を使って作られます。検体から取り出したウィルス株を羽化する前の鶏の卵に注入して培養します。卵はウィルスを外にだすため一生懸命に「漿尿液」と呼ばれるおしっこを出します。このウィルスを多量に含んだ尿を取り出して、ホルマリンなどで不活性化した後に純粋なウィルス成分になるように分離させたのが不活性ワクチンです。ここでも鳥さんは大活躍ですね。

日本のインフルエンザワクチンは3種混合ワクチンが使われています。中身はA型二つとB型一つの構成になっていて、これは感染力がA>>B>>>>>Cといった具合なためA型に比重を置いた形になっています。

この中身は毎年少し変わるのですが、決まるのは以下の流れです。

  1. WHOが「今年はこれが流行しますよ~」と宣言
  2. 国立感染症研究所がどの株をワクチンにするのかを選定と他の国の機関と助け合ってウィルス株を入手
  3. 北里、化血研、阪大微研、武田など製薬会社が作成

ウィルス株の構成は毎年変わっていて、色々な場所のものが採用されます。類似していない抗体に慣れさせて方が臨機応変に対応できるからです。

ちなみに2014/2015は

型/分離場所/順番号/年/(血清型)

A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/New York(ニューヨーク)/39/2012(X-233A)(H3N2)
B/Massachusetts(マサチュセッツ)/2/2012(BX-51B)

だそうです。どの株が選ばれるか科学者達の熾烈な戦いがあると思うと胸が熱くなりますね。

ワクチンの問題点

一つは数の問題です。ワクチンは一つの卵から大人一人分しか作ることができません。なので大量の卵が必要で、国民全員分をそろえるのに2年間ほどかかります。鳥さんも生むのが大変ですね。数が追いつかないから優先順位をつけて打たないといけないのでしょうね。

数の対策として細胞培養という方法の採用が急がれていて、こちらなら半年で国民全員分を作ることができるそうです。制度の問題や企業の技術的問題があるのでしょうけど頑張って欲しいものです。

二つ目は抗体の変異の問題です。ワクチンは弱った抗原を入れて抗体を作る役割があります。なので流行しそうな抗原のワクチンを作らなければなりません。

しかしウィルスも馬鹿じゃないようで、卵馴化といってウイルス株が卵の中で増殖させてる内に「人間の体」から「卵」の環境に適応してしまい抗原が変わってしまうことがあります。これではインフルエンザにあまり効果がないワクチンができあがってしまいます。だから卯馴化しにくいウィルス株を選定もしないといけないのでWHOや国立感染研究所の責任は重大です。この根本的な対策も細胞培養で大丈夫なようです、卵使いませんからね。

エボラ出血熱にも効く薬

薬

インフルエンザはウィルスですから薬で直接叩くことはできなくて、どれも増殖させないための物で48時間以内の摂取が勧められています。いくつか種類があって錠剤、吸入薬、注射に分かれています。

ノイラミニダーゼとはウィルスが感染を起こすのに重要な酵素です。この薬達はノイラミニダーゼ阻害薬とよばれいてA型、B型ともに効ききます、中にはA型だけに得意な型がある薬もあるようです。

良く聴くタミフルは経口薬、リレンザは吸入薬です。どちらも5日間の服薬を行います。イナビルは長期作用型の吸入薬で一回だけですみます。これらが経口から摂取できない高齢者などはラピアクタと呼ばれる点滴の対象になります。これも一回だけで良いようです。4種類紹介しましたがどれか一つだけで効果はあるようで、一回で済むイナビルが便利そうですね。

話題のエボラ出血熱にも効くかもしれないアビガン錠はインフルエンザの薬で、国の承認がないと日本では使えません。

家族がインフルエンザに感染したら

医療スタッフの家族がインフルエンザにかかるなどで予防的に服薬できるのは、今のところタミフルとイナビル(長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤)の二つだけです。職場のDrに相談して処方してもらいましょう。

 またアスピリンやNSAIDS(ロキンソニンとか)はインフルエンザ中に服薬すると脳炎などの危険があるので市販薬を服薬する場合は注意しましょう。

参考文献HP

卵馴化とは?2013/14シーズンのインフルエンザワクチン

2009年新型インフルエンザの世界的流行 – Wikipedia

パンデミック – Wikipedia

2014/15シーズン インフルエンザワクチン株 – 国立感染症研研究所

国内で販売されているワクチン等と取り扱い会社

ラピアクタ 添付文章

イナビル 添付文章

ファビピラビル – Wikipedia