最近、下腿切断の患者さんを診ているのですが
PTB式下腿義足の治療用仮義足が出来上がったので、装着練習を開始しました。
この調整は義肢装具士とリハスタッフでやってるんですけど、
インソールの調整みたいな細かいチューニングが必要です。
僕にとって初めての経験で、貴重な体験だったのでシェアします。
支える場所が重要
画像引用:義肢 義手 義足 装具 製作所 大阪
足部と一緒で、下腿断端にも
「支えていい場所」と「ダメな場所」があります。
PTBは「patellar tendon bearing」
つまり膝蓋腱荷重の略なので、ここで支えます。
もうひとつ重要なのが膝窩です。
こちらから押し出す形で 、はじめて膝蓋腱に荷重が成立するので、
後方のタイトさが必須になります。
調整はヒートガンとフェルト
ソケットは2つに分かれます。
ハードソケット:外側の固いやつ。上質な樹脂性。
ソフトソケット:内側の柔らかいやつ。仮義足なので布性。本義足ではシリコンになります。
ハードソケットは樹脂性なので、ヒートガン(数百度)で加熱・圧迫を繰り返して1mm単位で調整します。
ソフトソケットは2mmと4mmのフェルト生地を使って微調整をします。
脛骨前縁の発赤には要注意
注意するべきは脛骨前縁と切断された下端前面です。
ここに荷重がかかって、
創ができてしまうと装着練習は進みません。
時期が時期だけに、靴ずれどころの騒ぎじゃありませんよ。
在宅での歩行予後が変わります。
ですから尖った前縁部分の荷重を逃すように、
両脇をハードソケットが支える構造になっています。
これでも調整できないときは、
フェルト生地を10cm×3cmくらいで切って、
脛骨前縁の両脇に貼り合わせて対処します。
これがテンプレ的な対応なのですが、脛骨の外捻角は人それぞれ違うし、
固いの浮腫状況や創部状態も異なるので、微調整は歩行練習とあわせて随時やらないといけません。
インソールでの調整経験がこのとき生きます。
下腿が細すぎてもダメ
ソフトドレッシングで縛り上げて、
下腿を小さくする努力をするのですけど
細すぎても問題があります。それは膝窩の押し出しのタメです。
採型を行っても下腿断端は生き物なので、大きくなったり小さくなったりします。
トレーニングによっては腓腹筋残った部分の萎縮もあるでしょう。
小さすぎたときは、腓腹筋起始部部分に
2mm or 4mmフェルトを7cm×10cmくらい貼って
下腿を押し出しときます。
いまのとこはこんな感じ!調整がすすめば随時更新します。