棘上筋の概要
棘上筋は、小円筋、肩甲下筋、棘下筋を含むローテーターカフの一部で、肩甲上腕関節を安定させるのに重要な役割をしています。
外旋を伴う肩甲骨面上での外転で、強い収縮を筋電図で確認できますが、古典的な棘上筋テストは内旋での外転で実施します。これはどちらも作用することを示しています。
僧帽筋と棘上筋が筋力低下を起こすと骨頭を十分に上方に牽引できないので、下方に亜脱臼を起こします。これが片麻痺の方には多くみられます。
また肩関節の過伸展を伴った内転、内旋(結帯動作)でストレッチされるので、損傷がある場合は注意が必要です。
棘上筋の詳細
和名 | 棘上筋 |
英名 | Suparaspinatus |
起始 | 肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜 |
停止 | 上腕骨の大結節稜の上面、肩関節包 |
作用 | 肩関節の外転 |
支配神経 | 肩甲上神経 C5 |
支配血管 | 肩甲上動脈、肩甲回旋動脈 |
形状 | |
筋連結 | 棘下筋、小円筋、大胸筋(肩関節法を介して)、肩甲下筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、小胸筋、肩甲挙筋 |
触診 | 僧帽筋を介して触診可能。棘上筋は伸展・内転位で三角筋を介して触診可能。屍体からのデータでは、完全内転、80〜90度内旋、30〜40度伸展位でより腱の露出が確認されている。 |
触診の手順
赤色の実線:棘上筋の触れる部分
赤色の点線:棘上筋の触れない部分
黒色:肩甲骨、肩峰、鎖骨
書き方と全体像
まず肩甲骨を書いてしまいましょう。下角と肩甲棘を探して、肩峰まで書いてしまうと楽です。
上角は僧帽筋と肩甲挙筋に覆われているので、グリグリとしっかり探します。
書いたら棘上窩から肩峰下を通って、大結節までの筋腹をイメージして棘上筋をナゾリます。
必要あれば大結節まで書くといいでしょう。肩峰外側の下にあるポコッとしたのが大結節です。
写真は背面像。停止部が見えませんね。
腹臥位で上のアングルから。停止部付近は点線になって、肩峰下に潜っているのがわかります。
今度は背臥位で上からアングルです。大結節を書き足したので、停止部に向かって棘上筋が伸びていってます。
背臥位から正面像。
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参考文献;
監訳 山崎敦ほか,オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学 原著第2版,2012.
編集 鈴木重行,ID触診術,2005
編集 河上敬介,磯貝 香,骨格筋の形と触察法.2013
監修 河合良訓,肉単(ニクタン)〜語源から覚える解剖学英単語集〜.2004