小胸筋の触診

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小胸筋の概要

小胸筋は胸郭の前面に位置し、肩甲骨前方の突起である烏口突起に停止している独特の肩甲骨軸筋です。

烏口突起に付着しますが、一部はCHL(鳥口上腕靭帯)の表面を走行し、大結節や関節窩後上縁にまで広がっています。

作用は松葉杖をついときのように、下から肩甲帯を持ち上げるような力がかかったたときに、これに抵抗して下制すると強く収縮します。

疾患としては、小胸筋と烏口突起の下で神経血管束が圧迫されて起る、「過外転症候群」があります。

小胸筋の詳細

和名

 小胸筋

英名Pectoralis Minor
起始第3ー第5肋骨の肋軟骨面や上縁 ※第2や第6肋骨を含む場合あり
停止肩甲骨烏口突起内側縁と上面
作用

 肩甲骨引き下げ、下方回旋、外転

支配神経内・外側胸神経 C5-th1
支配血管 胸肩峰動脈、外側胸動脈、内胸動脈
形状 
筋連結 大胸筋、烏口腕筋、内肋間筋、大胸筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋
触診小胸筋は大胸筋の深層にあり、触診は難しい。肩甲骨下方回旋の運動中に烏口突起直下で触れることができる場合があり。

停止部の深部を腕神経叢、腋窩動脈、腋窩静脈が走行するため、強すぎる触診は禁忌。

触診の手順

全体像

緑の実線:小胸筋を大胸筋越しに触れることができる部分

緑の点線:小胸筋の触れることができない部分

紫の実線:鎖骨、胸骨、烏口突起、第2肋骨、第5肋骨

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まず大胸筋を十分に弛緩させましょう。

大胸筋の深層にあるため、触りにくく痛みを伴いやすいんですけど、

走行が小胸筋は斜めで、大胸筋は平行なので触り分けることができます。

小胸筋の内側上縁

まず鎖骨の中央を触ります。そのすぐ下にある肋骨が第2肋骨です。

第2肋骨を胸骨から3〜4横指外側で触ると、小胸筋第2肋骨起始部があります。

ここから烏口突起まで走る斜めのラインを想像して、強めにエッジを探していきます。

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小胸筋の外側縁

乳頭の1〜2横指下が第5肋骨なので、ここに内側をえぐるように指を入れると、小胸筋の第5肋骨起始部を触れることが出来ます。

大胸筋が発達していると難しいのですが、このまま烏口突起まで触診していきます。

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参考文献;

監訳 山崎敦ほか,オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学 原著第2版,2012.

編集 鈴木重行,ID触診術,2005

編集 河上敬介,磯貝 香,骨格筋の形と触察法.2013

監修 河合良訓,肉単(ニクタン)〜語源から覚える解剖学英単語集〜.2004