深部静脈血栓症のリハビリの注意点とリスクを把握しよう!

深部静脈血栓症(DVT  deep vein thrombosis)は手術や長期の臥床を引き金にして発生し、肺血栓塞栓症(PEP ulmonary embolism)など命に関わる重篤な疾患につながるため、リハビリ職種として特に注意するべき合併症です。

Drからも「十分にDVTに注意をしてなにか変化があればすぐに報告して下さい」とよく指示を貰いますよね。

なので今回は重要な合併症であるDVTを、少し系統立てて勉強したいと思ったので2009年のガイドラインを覗いて確認してみました。

ちなみに画像の右下肢がDVTを発症した下肢です。少し太くて赤黒く変色しているのが分かりますね、こうならないようにしっかり予防していきましょう!

Deep_vein_thrombosis_of_the_right_leg

画像出典:Pulmonary embolism – Wikipedia, the free encyclopedia

深部静脈血栓症の治療法の適応とリハビリの有効性

DVTの予防方法には早期離床、弾性ストッキング、フットポンプ、ヘパリンなどの血栓溶解療法などありますが、

2009年に発表された肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、予防に関するガイドラインをみてみますと低リスク群には最初に挙げた軽い運動系、高リスク群にはお薬が勧められています。

治療法

画像引用:肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、予防に関するガイドライン

低リスクの方は積極的運動と早期離床でOK。DVTは下腿に発生しやすいので、予防のため足首をパタパタしましょうと説明しますよね。(足首だけでいいのか疑問ですが、やってもらい易い)

注意したいのが高リスク郡でお薬が勧められていますが、運動療法をしないというわけではなく高リスク郡だからこそDVTが出来ないようにお薬と一緒に積極的運動と早期離床をしましょう!といこうことです。

基本的に運動療法は制限するのは血栓ができてしまってからです。

DVTの予防のため運動で血流を増やしますが、一度DVTができると運動はかえって血栓を飛ばすことにつながり、肺血栓塞栓症を起こしてしまう可能性があります。

こうなると適応は下大静脈フィルター設置や投薬の厳密のコントロールになってきます。

リハビリ職種が知っておくべき、深部静脈血栓症の高リスクの疾患とは?

ではどこからがDVTの高リスク郡になるのでしょう?次は同じガイドラインに記載されているリスク別の分類を見てみましょう。

次の図は一般外科、整形外科、産科領域に区分されており、特に馴染みのある整形外科領域ではTHAやTKAなど大きな創を伴う観血的治療は高リスクに分類されていますね。

こちらには書かれていませんがCVA後の不動も高リスク群です。これらは特に注意して介入しましょう。

dvtリスク

画像引用:肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、予防に関するガイドライン

深部静脈血栓症の評価 ホーマンズ兆候(Homans’ Sign)はあてにならない?

注意すべき疾患をある程度スクリーニングできたら、次は臨床症状の確認です。

DVTの評価法といえばホーマンズ兆候があります。方法はふくらはぎに血栓は出来やすいので、膝関節伸展位で(屈曲とか指定がないこともあります)足関節を背屈をします。

下の動画を参考にしてみてください。

これでふくらはぎに痛みがでれば陽性、でなければ陰性です。

が、、、臨床でやってみるんですがアキレス腱の伸長痛ばっかりで陽性をはっきり確認できないんですよね、、、(下手なだけ?)

そんな疑問もあり、確認のためにググっていたら面白い記事にたどり着きました。

それが海外でアスレティックトレーニング学部の専任臨床教育コーディネーター&臨床助教授さんのブログです。いつも興味深く拝見させて頂いています。

この場を借りてお礼申し上げます。

内容の一部を要約するとホーマンズ兆候(Homans’ Sign)が統計的にほとんど優位ではなく、ふくらはぎの周径で陽性を評価する方法やスコアをつけて系統だった評価をする方が良さそう、とのことでした。

詳細はリンク先で確認してみて下さいね。

こうなるとホーマンズ兆候は一応の確認ぐらいにして、血色の変化や周計参考にして、血液検査で血栓の有無を確認できるD-dimerなど血液情報をしっかり確認することが大事だと思います。

さらに投薬のコントロール状況の把握と肺血栓塞栓症を起こしていないかSPO2が随時チェックしながら離床できればなお良いのではないでしょうか。

患者さんの命が守れるようにしっかりチェックして介入しましょう。

深部静脈血栓症について勉強するなら、良い本を読もう!

リスク管理は患者さんにとっても、自分にとっても重要な項目です。

この本は内容が充実していて、分かりやすくてオススメです。2017年3月に改訂版がでているので、チェックしてみましょう。

参考文献,HP

原 寛美 (編集), 吉尾 雅春 (編集),脳卒中理学療法の理論と技術,メジカルビュー社,pp184-186,2013.

肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、 治療、予防に関するガイドライン

Pulmonary embolism – Wikipedia, the free encyclopedia