いわゆる不安定型の骨折で起こりやすく、骨粗鬆症やRAや糖尿病など骨が脆くなる疾患で起こりやすいようです。また重要なのが内固定の挿入位置と骨頭との距離感です。いくつかのチェックポイントを見ていきましょう。
※画像はx-pをイメージして作っています。また今回はCHSの形で書いていますが、基本的にはPFNAやγネイルも同様です。
画像出典:Anatomography 一部加工あり
Cutoutのチェックポイント
目次
内固定の挿入位置
正面像と側面像の確認が必要です。基本的に骨皮質とLag Screwの距離が近いと骨を突破してしまう可能性が高くなってしまいます。
画像出典:Anatomography 一部加工あり
正面像ではLag Screwが骨頭の真ん中から内側を通っていることが大事です。これは外側では皮質までの距離が短くなってしまうのと、内側には骨梁が多くあり海面骨の固さが確保でき内側骨皮質で支えることができるためです。
また緑色のスクリューが反対側の骨皮質まで貫いているかどうかも安定に寄与しているので要チェックです。
画像出典:Anatomography 一部加工あり
側面像でも中心に通っていることが大事です。特に問題なのが前方に挿入される例で有位にCutoutする確率が高くなるようです。
内固定のスライドによるcutoutの予防
CHSやPFNAではcutout防止の為にLag Screwのスライド機構がついています。スライド機構とは荷重がかかり骨頭が骨折部方向に落ち込んでくると、大腿筋膜張筋の方向にスライドして骨頭の突破を防いでくれます。もしコレが固定されていたらcutoutにする症例はとても多くなってしまうでしょう。
これは1週間で10mmを超えてスライドすると不安型と言われています。どうやら筋の緊張のみでもスライディングするようですよ。
画像出典:Anatomography 一部加工あり
簡易的な評価TAD(Tip apex distance)
Cutoutの危険性があるのかを評価にTADがあります。これはスクリューと骨頭の頂点の距離がどれくらい開いているかの評価で、挿入のズレを表しています。
正面像と側面像の骨頭の頂点からスクリュー先端までの距離の和(A+B=TAD)が25mm~30mm以上は有意にCutoutが起こりやすいです。
もう一つ注意したいのが、骨頭とLag Screwの距離の近さです。10mm以下では穿破する可能性が高くなるといわれており、稀な例だとは思いますがTADが小さくても骨頭との距離が近すぎたら荷重時期に注意が必要です。
画像出典:Anatomography 一部加工あり
画像出典:Anatomography 一部加工あり
急性期の整形疾患では荷重時期のDrへの確認が絶対に必要ですが、Dr達がどのような視点で見ているのかを知ることで円滑なリハビリテーションができると思います。
レントゲン写真や電子カルテを見るときには注意して見て下さいね。
知識を効率よく吸収するなら、良い本を読もう!
レントゲンの見かたはこれで覚えました。
下肢の整形疾患の要点はこの本にすべて書かれています。文句なしにおすすめ。
参考文献、HP
香川三豊総合病院で頂いた「大腿骨頚部骨折」資料 毎年研修会が開かれています、PT協会のページから検索できます。オススメ
プロメテウス 解剖学アトラス 監訳 坂井建雄
運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学 工藤慎太郎