足関節の背屈で腓骨はどちらに回旋するの?教科書11冊を調べてみた!

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背屈の際、距腿関節がわずかに広がり距骨が入り込んでいきます。

このとき腓骨は外に広がり挙上してわずかに回旋するのですが、この回旋方向は教科書によってバラバラに記載されています。

これではどっちに誘導すればいいか迷ってしまいますね。

なので教科書では外旋内旋どっちが多いのか、11冊の本の背屈時の腓骨の回旋の記載を調べてみました。

結果は外旋3内旋5記載なし3でした。

版を重ねて記載が変更されている教科書は確認できた最新版の物をカウントしています。

学校では外旋で教えてもらいましたから内旋の方が数が多かったのは意外でした。

なぜ足関節の背屈で意見が分かれるのか

自分の右足を触診しながら試してみると背屈で腓骨はわずかに内旋しています。

意識して純粋にまっすぐ距骨の入り込みを行った場合は内旋です。しかし少し外反が入ってくると腓骨は外旋してしまいます。

このようにわずかな変化で回旋方向が変わってしまうため記載がバラバラになってしまってるのではないでしょうか。

他にも計測方法や人種による特徴の違いなどありそうです。

回旋が起こる要因としては遺体解剖からの考察では靭帯の緊張ではなく距骨と腓骨の関節形状が鍵のようです。今後の研究が期待されます。

足関節の背屈で腓骨の回旋を確認した11冊の教科書

思いがけませんでしたが運動学の歴史を追うような形になりました、掲載順は初版の発行の古いものから順番に掲載しています。

詳細は以下の通りです。

ブルンストローム臨床運動学 初版1962 原著第6版 2013/12/10 

著者・訳者: Peggy A. Houglum (著), Dolores B. Bertoti (著), 弓岡 光徳 (監訳), 村田 伸 (監訳), 森 彩子 (監訳), 溝田 勝彦 (監訳), 武田 功 (監修)

 

記載:原著第6版 文章で背屈で内旋、底屈で外旋の記載あり

調べた中では一番古かった運動学の教科書です。有名なブルンストロームPTがアメリカで出版したのが初版だそうです。

基礎運動学第6版 単行本 – 初版1976/4/25 6版 2003/12/1

著者・訳者: 中村 隆一 (著), 斎藤 宏 (著), 長崎 浩 (著)

 

記載:6版 背屈・底屈の腓骨の回旋について記載なし

運動学の入門書といえば基礎運動学でしょう。しかし関節運動や筋の動きに関してはあまり記載がなくて、運動学習や生理学まで網羅した運動のための教科書といったイメージです。

そういや友人は一冊しか教科書が持てないならコレって言ってましたね。

標準整形外科学  初版1979 12版2014/3/10

著者・訳者: 松野 丈夫 (著)

 

記載:6版、9版 簡単な図説付き背屈で外旋、底屈で内旋11版では図説が削除され記載なし

面白いことに6、9版では背屈は外旋と記載されているのに11版では図がなくなっているんですよね。

回旋の見解が一定していないので削除されてしまったのでしょうか。

ちなみに私の持ってる9版は青色です。先生からは臨床にでてこれは何度も見ることになると言われた本で、たしかにいつもお世話になっています。

カラー版 カパンジー機能解剖学 II (2) 下肢原著6版  初版1986/1/1 カラー版2010/3/1

著者・訳者: A.I.Kapandji (著), 塩田 悦仁 (翻訳)

 

記載:カラー版6版 図説と文章で屈曲(カパンディでは背屈)で外旋、伸展(カパンディでは底屈)では内旋と記載あり。

2014/11/5 カパンディ5版を購入のため追記 

図説と文章で屈曲(カパンディでは背屈)で内旋、伸展(カパンディでは底屈)で外旋と記載あり

まさかカパンディまで記載が変更されてるとは、、5版には底屈から背屈で30度以上内旋するって書いてるのに、、

追記終わり

学生時代は背屈を伸展、底屈を屈曲と習ったと思います。

しかしカパンディさんは文言が不適切と記載されており、あえて背屈を屈曲、底屈を伸展と書かれていてよく見ないと間違いやすくなっています。

今の40〜50代の理学療法士の方々が就職前後に発売されてお世話になった教科書ではないでしょうか。あとカパンディさんはフランス人です。

図解 関節・運動器の機能解剖 (下肢巻) 初版1986/3/1

著者・訳者: J.Castaing (著), 井原 秀俊 (翻訳)

記載:初版 簡単な図で背屈で内旋、底屈で外旋とあり

元はフランス医学の本です。薄い本で図解が分かりやすくて取っ付きやすいです。

整形外科理学療法の理論と技術  初版1997/4/1

著者・訳者: 山嵜 勉

記載:初版 簡単な文章のみで背屈で外旋、底屈で内旋とあり

山嵜 勉先生は山口 光國先生、福井勉先生、入谷誠先生の元職場の上司で理学療法士列伝に紹介されている先生ですね。

結果の出せる整形外科理学療法−運動連鎖から全身をみる 初版2009/2/2

著者・訳者: 山口 光國 福井勉 入谷誠

記載:初版 図と文章で背屈で内旋、底屈で外旋と記載あり

理学療法士でとても有名な3方が書かれています。

筋骨格系のキネシオロジー―カラー版原著第2版 初版2005/5/1 2版カラー板 2012/3/1

著者・訳者: ドナルド・A.ニューマン (著), 嶋田智明(翻訳)

記載:第2版カラー版 背屈・底屈で腓骨の回旋について記載なし

現在キネシオロジーを学ぶならこれが一番多いのではないでしょうか。しかし意外にも回旋の記載がありませんでした。

入谷式足底板 ~基礎編~ 初版2011/8/27

著者:入谷誠

記載:図説で背屈で内旋、底屈で外旋と記載あり

入谷先生2回目のエントリーです。言わずと知れた足底板の達人の本です。入谷先生は勉強会にきて頂いた際も内旋とおっしゃっていました。

オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学原著第2版  初版 第2版 2012/5/25

著者・訳者: 山崎 敦 (監修, 翻訳), 佐藤 俊輔 (監修, 翻訳), 白星 伸一 (監修, 翻訳), 藤川 孝満 (監修, 翻訳)

記載:背屈で後方へ回旋と記載あり

とても読みやすくてオススメの本です。個人的には筋骨格のキネシオロジーより読みやすいのでブログにも良く引用しています。後方回旋は内旋と捉えてカウントしました。

次世代へのメッセージ カパンジー生体力学の世界―地球上の生物に共通する動きの仕組み 初版2014/9/1

著者・訳者: アダルベール カパンジー (著), Adalbert I. Kapandji (原著), 塩田 悦仁 (翻訳)

記載:図説で背屈で外旋、底屈で内旋と記載あり

カパンジーさん2冊目のエントリーです。2014年の最新の教科書として調べてみました。約2万円と高価な本です。

以上11冊のエントリーでした。

参考文献、HP

以上の11冊

返信 – 理学療法質問箱

足関節屈伸運動と腓骨外果の回旋 -肉眼解剖と B モード超音波画像観察-