まずはこちらの動画をご覧下さい。
目の前にロープを張られ明らかに困惑するペンギン達。果敢にチャレンジするもロープはペンギンの脚からするとあまりにも高く、次々とペンギン達が倒れていきます。
ヒョイっとまたげそうなものですが彼らはどうして転倒してしまうんでしょうか。
ペンギンの脚は屈曲90度
画像出典:yoga JOURNAL ウトゥカターサナ (椅子のポーズ)
ペンギンの脚は実は見えている部分の3〜4倍ほどの長さがあって、股関節、膝関節が屈曲90度で立っています。少しヨガの椅子のポーズに似ていて違いはここからさらに腰椎を後弯させ、足部を底屈させることです。これでペンギン立位の完成です。
それではみなさんもペンギン立位をとってみましょう。ペンギンの気持ちがよく分かります。
- 股関節、膝関節90度の空気イス状態になる
- そこからあえて腰椎後弯を意識する
- 最後にかかとを上げてつま先立ちなる
- ここまで出来たらそこからロープをまたぐ為に片脚立位になってみましょう。
実際に行うとイスのポーズからつま先立ちになるだけで大腿四頭筋はパンパンです。そこから片脚立位は私の身体的なキャパシティでは無理ゲーでした。。
なぜ彼らはこんな自分に厳しい姿勢をとっているのでしょうか。
空から海へ
鳥は一般的に2足歩行をしますが、多くは地面に対して体幹を水平にして歩きます。これに対してペンギンは地面に対して垂直に体を起こして2足歩行をします。これは進化の過程で水中に入り、流線型の体を手にしたためです。
水中のように抵抗が大きな場所では進行方向に対して投影する面積が少ない方が動きやすくなります。ですからペンギンのご先祖様は体を地面に対して起こし、膝を曲げてお腹の脂肪にくるめました。全ては水中での抵抗が少なくなるように姿勢をとっていったのです。
膝を伸展しても抵抗が少なくなりそうですが体温を逃がさない為には大きな脂肪に囲まれたお腹の中に入れるのが有利だったのでしょう。体温対策は羽毛が高密度であったり、足部の静脈が動脈くるむように走行して氷の上でも足が凍えにくいようになっていたりと他でも見られます。
人間と同じ2足歩行でもロープを超えられないのは水中に適応したからだったんです。
ペンギンと一緒に住まれている方は、どうか部屋の中にロープを張らないであげて下さいね。
2014/11/16 追記
実際にやってみました。
参考文献、HP
鳥類学者無謀にも恐竜を語る 川上和人 p68
EVOLUTION 骨から見る生物の進化 普及版
ペンギン 行進(秘)操縦法 – 知識の宝庫!目がテン!ライブラリー