アキレス腱再断裂や陳旧性再断裂などにリンドホルム法(Lindholm法)が選択されることがあります。
切れた筋肉は時間がたってしまうとちぢんでしまい、切れ端同士は離れてしまいます。
そうなるともとの組織同士を縫合できません。なので足りない部分をなにかで補ってあげる必要があるのです。
アキレス腱断裂も例外ではありません。陳旧性で短くなったアキレス腱を自分の腓腹筋膜で2次的に補う方法がリンドホルム法なのです。
アキレス腱の再断裂後のオペ法「リンドホルム法」について調べてみた!
目次
皮弁という考え方
リンドホルム法では腓腹筋はフラップと呼ばれる状態でアキレス腱にくっつけます。
日本語では皮弁といって、この場合は筋腱膜皮弁でしょうか。
下記に皮弁の説明を皮弁 – 日本形成外科学会より抜粋させていただきます。
皮弁とは、「血流のある皮膚・皮下組織や深部組織」を移植する手術方法です。英語では‘flap’と表現されます。
文字通り「形を成し元通りに復元する」ことを目的とする形成再建外科分野では、最も重要な手術手技のひとつで、
その歴史は古くインド造鼻法にまで遡ることができます。
血流を確保したままくっつけれるので栄養状態も安心だし拒絶反応もないのが利点ですね。
アキレス腱再断裂後の手術では、腓腹筋をひっくり返してつなぐ
見た目はアキレス腱をきしめん状に切って反転させ、断裂部に貼り付けます。厚さ1~3mm、幅1cm、長さ10-13cmです。これを2本作ります。
反転させたあとは断裂したアキレス腱にしっかり縫い付けていきます。できたらフラップを作った部分も閉鎖して創部を閉じれば完了!
このときいっしょに足底筋を皮弁にして補強することもあります。
足底筋を起始部近くで切離して踵の方だけくっついた状態でグルグルと縫合部にあてるのです。
朝熊ら(2000)によると腓腹筋腱膜弁単独よりも足底筋を用いた場合は背屈制限がほとんど生じないとしており、癒着防止効果も期待できます。
アキレス腱再断裂後の手術の予後は良好
報告によると予後は良いようです。
高尾ら(1995)は新鮮例の端々縫合と陳旧例でリンドホルム法を足関節機能評価法で比較したところ、術後成績に差はみられなかったとしています。
また生田(2015)も陳旧例に対して腓腹筋筋膜で再建術を行っていますが、
3ヶ月で歩行正常化、半年で可動域制限はなく、つま先立ちも可能になったと報告しています。
しかしそれでも文字には現れない細かい動作上の細かい問題は残ると思っています。そこを改善するのが担当セラピストの腕の見せどころでしょう。
参考・引用文献,HP
朝熊 英也 他,アキレス腱再建術の検討,東北整災紀要,44(1),pp.79-83,2000.
生田拓也,アキレス腱陳旧性断裂に対する腓腹筋筋膜を用いた腱再建術の経験,整形外科と災害外科,64(4),pp697-699,2015.
高尾昌人,朱 他,陳旧性アキレス腱断裂の術後成績,中四整会誌,7(2),PP459-462,1995.