ある患者さんに介入させていただいたのですが、興味深い方だったので残しておきます。
腓骨骨折の回復期の終わりごろの方だったのですが、バランスを取る際に肩甲骨の安定化機能が低下されバランス能力低下をおこされていました。
基本情報は腓骨骨折で入院されており、独歩可能な方です。見た見はかなり元気そう。
腓骨の骨癒合は観血的治療のおかげでしっかりできており、構造的には安定でDrのお墨付き。あと足部機能はそこそこ改善してきています。ですが退院間際になっても片脚立位や両足つま先立ちが痛みがあり1〜2秒しかできていません。
痛みの原因はどうやら荷重ラインが外側に偏っており、腓骨前方や立法骨あたりに荷重ストレスが集中したまま背屈してしまい、さらなる応力集中が原因のようでした。
なんで支えられないのかな?と思いボトムアップ的に評価をすすめていきました。
評価をすすめてみるも下肢・下部体幹は大丈夫そう、、原因はどこの機能?
しかし評価をすすめてみるも患側下肢筋力、体幹筋力ともにMMT5といかないまでもMMT4程度の筋力はあり、つま先立ちや片足立位を保持(10秒くらいでしょうか)するのに必要十分な筋力・協調運動能力と思われました。
うーん困った。
上部の機能はどうだろう?と思い次に膝を立ててpush upをしていただいたところ、問題点がひっかかりました。
左右ともに翼状肩甲となって過度の内転位のまま動いており、肩甲骨が体幹と協同して動いていませんでした。
ほかの体幹から足部機能などに比べて非常に弱く、機能が吊り合っていないので伺ってみると10年以上前にコーレス骨折を受傷されており、四つ這いなど手を着く動作が怖くて日常生活でおこなっていなかったそうです。
あらためてつま先立ちのバランス評価してみたところ、肩甲骨及び上肢帯が全然参加していませんでした。
通常であれば肩甲骨を僧帽筋上部繊維や肩甲挙筋で引き上げて肩をすくめてみたり、前鋸筋で外転位をとって安定させてみたりすると思いますが代償的な収縮を含めて運動が波及していませんでした。
試しに肩甲骨周囲筋の収縮が適度に入るように上肢を90度外転位まで挙上していただくと、1-2秒しかできなかったつま先立が10秒程度まで延長しました。足部の痛みもとりあえずなし。
肩甲骨周囲筋を操作しながらのバランス練習
しかし困ったことにすぐに肩甲骨周囲筋を使わない学習がすすんでしまい、使わなくなると、じきに足部のバランスが崩れ痛みがでてきます。
このあと患者さんと二人で試行錯誤をしながら練習方法を考えました。結論はストレッチポールをたてて前鋸筋で軽くpushしながらつま先立ちをすると、足部の痛みもなく肩甲骨を安定させて練習できました。
画像の私は過度に上腕三頭筋に頼っていますね、難しい。
あと下肢全体のトレーニングをかねて平行棒内のモンキーウォークを追加しました。このまま経過観察していみます。
反省点
肩甲骨の問題点に至るまでが、なかなか時間がかかってしまいました、、、はじめから立位の後面の姿勢評価を行っていれば、翼状肩甲にすぐにたどり着いたと思います。
普段からきちんと評価する癖をつけずにすぐに問題点にアプローチしようとするから返って長くなってしまいます。
きちんと評価と記録をしよう。
あと今回は肩甲骨を両側でまとめて考えてますが、片側づつの変化もみれたら良かったかなと。次回は注目してみてみよう。