股関節疾患では中殿筋をはじめとした外転筋がよく注目を集めます。
以前紹介したとおり、外転筋力は頚体角に左右されます。
とくにTHAなどはオフセットまたはラテラルオフセットという概念でレバーアームの長さを調整されます。
つまり外転筋力を発揮しやすいようにしているのです。
ではオフセットはどのように測られ、どのように調整されてているのでしょうか?
Drに少しお話を伺ったのでまとめておきます。
オフセット=髄腔垂線か大転子先端から恥骨結合まで距離
画像出典:Anatomography 一部加工あり
オフセットは画像上で大転子先端から恥骨結合まで距離をはかります。
もしかしたら髄腔垂線から骨頭中心までの距離のほうが一般的なのかな?
もちろん撮影がまっすぐされているのが前提です。閉鎖孔の傾きを合わせるのが重要だとか。
このオフセットが短ければ外転筋力は低下、長ければ上することになります。
なら大きめにしとけばいいじゃん!大は小を兼ねるって言いますし。
、、、
っと思ったのですが、ことはそう単純じゃないようです。
悩ましいのは外転筋力と伸張性のバランスで、
オフセットを付け過ぎると臀筋がパツパツに張って痛みの原因や可動域制限に繋がるし、つけないでいると外転筋力が正常に発揮できないのです。
このバランスの取り方はDrの腕の見せ所でしょう。
オフセットは反対側にあわせればいいのか?
なにを基準に正常とするかは難しい問題です。オフセットも同様でベストはどれかという問題があります。Drによっても意見がわれていて、
- 反対側のオフセットに合わせるパターン
- 機能を考えて調整するパターン
があるそうです。
機能を考えるときは若い人だから跛行が残りにくいようにオフセット強めでいこう!とかするそうです。あと軟部組織のバランスなどを※シャンクテストなどで確認しながら最適解を考えていくのでしょう。
※術中に股関節中間位〜伸展位で下方に牽引、少し引っ張れるくらいでちょうどいいバランス
どうやって調整しているか
オフセットの調整方法は大きく2つあって、挿入位置と骨頭の頚体角で調整されます。
そのまま髄腔の内側ぎみに入れるか外側ぎみいれるかで、距離を変化させます。もうひとつは人工骨頭部分の頚体角を挿入する規格を変えて調整します。
PTの感想
前々から人工骨頭は頚体角つけすぎじゃないかな?と思っていたのですが、オフセットをみながら総合的に調整されているようです。
Drによって跛行の残り具合に差がでるなーと感じることもありますが、この辺で差がでている場合もあるんでしょう。
PT的には外転筋力の積極的強化が必要か、それとも可動域制限に重きを置くべきか考える材料になりそうです。