広背筋の概要
広背筋は脊柱や骨盤にまで達して付着する広く平らな筋で、伸展・内転方向に大きな力を発生させます。
忘れがちですが肩甲骨の下角にも付着しており、肩甲骨の下制にも参加します。
英名のlatissimus dorsiのdorsiはラテン語で「背」を意味するドルスムdorsumの属格。
広背筋の詳細
和名 | 広背筋 |
英名 | latissimus dorsi |
起始 | ・上部は僧帽筋に覆われて第6胸椎の棘突起 ・胸腰筋膜 ・腸骨稜後部の外唇 |
停止 | 結節間溝底部、肩甲骨下角 |
作用 | 肩関節の伸展・内転・内旋、肩甲骨下制 |
支配神経 | 胸背神経 C6-8 |
支配血管 | 胸背動脈、頸横動脈 |
形状 | |
筋連結 | 外腹斜筋、大胸筋、大円筋、三角筋、上腕三頭筋、脊柱起立筋、烏口腕筋、 上腕二頭筋、橈骨手根屈筋、尺側手根屈筋、僧帽筋、下後鋸筋、棘下筋 |
触診 | 腋窩の後壁を外縁を作っており、容易に触診可能 |
触診の手順
赤色:広背筋
青色:大円筋
黒色:Th7、腸骨稜、肩甲骨など骨の補助線
書き方と全体像
まず肩甲骨と腸骨稜を書いてしまいます。頸部を屈曲してC7をだしてそこからたどってTh2と7の棘突起も書きましょう。
Th2は上角、Th7は下角の位置にあるので、肩甲骨と比べながら棘突起を数えるといいでしょう。
次に上後腸骨棘と上前腸骨棘を仮想の線で横にむすんだ中央から2横指横の位置から、広背筋がはじまるので、
筋の縁をたどって腋窩まで書きます。あと下角からTh7に向かって広背筋の縁を触りながら書きます。
腋窩はこんな感じ、青色が大円筋で、ここから触り分けに苦労しました。
背臥位で上肢挙上。広背筋は肋骨に掛かるようにカーブしながら小結節方向に伸びるので、触りわけて書きます。
広背筋上縁部
上縁部は横に走る線維を指でしっかり感じることができました。
広背筋外側縁部
上後腸骨棘から外側と簡単な指標を頭に置いて、外側に膨らむカーブを図と照らし合わせて触診すると
こちらも容易に触診可能でした。腋窩に侵入するあたりから、走行の判別が難しくなります。
広背筋腋窩部
腋窩の後壁は大円筋と広背筋で、
深く指を差し込んで下角から伸びていくのが大円筋、表層を走るのが広背筋と触り分けましょう。
内転方向に抵抗運動をかけると、広背筋が浮き出るので触り分けが容易になります。お試しあれ。
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参考文献;
監訳 山崎敦ほか,オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学 原著第2版,2012.
編集 鈴木重行,ID触診術,2005
編集 河上敬介,磯貝 香,骨格筋の形と触察法.2013
監修 河合良訓,肉単(ニクタン)〜語源から覚える解剖学英単語集〜.2004s