スクリューホームムーブメントとはOKCの場合、膝関節の最終伸展15度程度でわずかに下腿が外旋(大腿が内旋)する動きのことを指します。
日本語では終末回旋運動です。これが起きる理由は大きく2つあります。
スクリューホームムーブメントが起きる理由
目次
① 大腿骨内側顆の関節面が外側顆より大きく、顆間窩方向へ走行しているため
「内側顆の方が大きいから早く転がり脛骨が外旋する」とよく説明されます。
よく見ると内側顆の関節面が顆間窩方向へ斜めに走行して、より脛骨の外旋を誘導する形になっています。
大きいだけじゃないのです。
このレールにそって脱臼しないように伸展すると脛骨が外旋しますね。
②靭帯による影響
そして脱臼しないように守っているのが靭帯ですね。
ACLをはじめとする靭帯の緊張で膝関節は安定しています。
前からACLをみると前顆間区から外側顆をななめに走行し外旋方向へ誘導しています。また伸展で緊張します。
後ろからPCLを見ても微妙に斜めに走行して内旋を制限します。LCLとMCLは下腿が軽度の外旋と伸展することで自然な緊張を起こします。
主な靭帯はどれも膝が伸展すると外旋へ誘導するように走行していますね。
他にも筋の走行など考えられますが骨の形状と靭帯の緊張の2つが大きな要因ではと思います。
逆回転するスクリューホームムーブメント
しかし変形性膝関節症の方をみていると最終域で内旋される方がいます。
これはどういうことでしょう? 骨と靭帯の関係がどこで異常を起こしてしまっているのでしょうか?
石井慎一郎先生の文献によると、スクリューホームムーブメントが内旋する方は 脛骨が伸展時に前方に大きく移動しており、
ACLとLCLのがゆるんで特徴があるそうです。
留め金がなく安定できないため
脛骨の外側が前に飛び出してしまい結果的に内旋してしまうと思われます。
臨床で観察しているとTKAの術後の方でも確認できないこともあります。
これも靭帯が切除や部分剥離が行われていることで説明できると思います。
骨のアライメントを補正しても内旋するのは、やはり靭帯が大きく影響しているようです。
ついでにTKAの話
OPEの傾向としてACLは切断するようです。
PCLは意見が分かれていてロールバックを起こすために温存するか、切断してTKAの形状でロールバック機能を代償します。
温存すると自然な動きをしやすい反面、長年使用されたPCLの強度に疑問が残ります。(CR型 cruciate retaining)
切断すると靭帯全体の緊張バランスがとりやすく摩耗が少なくてすみ、選択できるTKAの種類が増えます。(PS型 Posterior stabilized)
現状ではPCLは切除することが多いようです。
MCL・LCLは症例に応じて部分切除することが主でMCLは残しすぎると内反を矯正できず、
しかし切除しすぎると切れて不安定になってしまいます。整形外科医にとってバランスを考えるのが腕の見せどことのようです。
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参考にしたサイト
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/23/1/23_1_11/_article/-char/ja/
http://www.hakatara.net/images/no3/3-10.pdf
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12152652