やる気スイッチどこにある?
画像出典:側坐核 – Wikipedia 一部改変
「やる気」「スイッチ」から連想されるのはOldsさん達が行ったネズミを使った有名な実験です。
内容はネズミがレバーを踏むとドーパミン作動系に電気刺激が起きるようにすると飲食を忘れてレバーを押し続けるというものです。
ドーパミン作動系(A10神経系)は快感が起こる回路のことで、腹側被蓋野(VTA)から放出されたドーパミンが側坐核(n. accumbens)に到達すると快感が生じます。このためドーパミンは動機付けに関わると言われており、時に努力の回路とも呼ばれます。
本田圭佑選手と強化学習
「1年後の成功を想像すると、基本の地味な作業に取り組むことができる。僕はその味をしめてしまったんですよ。」というサッカーの本田圭佑選手の言葉は記憶に新しいです。彼が頑張れる理由をこの言葉から考えてみましょう。
強化学習と成功体験
一つ目のポイントは成功体験と練習をつなげることです。
努力はトーパミン作動系の強化学習というプロセスを通して行われ、報酬に対する予測と結果の差からおこります。
まとめると以下の通りです。
予想<結果 ドーパミン放出され、正の強化 例:基礎練習を繰り返したおかげで結果を残すことが出来た!次も頑張ろう
予想>結果 ドーパミン放出されず、学習性無力感 例:基礎練習を繰り返したけど失敗した。頑張るのやめようかな。。。
予想を大きく超える成功体験をした方が強く強化されるのて当たり前にできる目標では正の強化はされません。また失敗すれば学習性無力感を起こしてしまうので難易度の設定が大切です。
大きすぎる予想も結果がいくらよくても成功体験にならないので、
- 身の丈にあった成功の予想、
- 成長できる少し背伸びした目標
- 予想を覆す大きな結果
努力をして快感を感じるには、この3つの組み合わせが良いですね。
動機とアンダーマインニング効果
2つめのポイントは本田選手が自分で一年後の成功を目標にしていることです。
もし自分ではなく他の人から「この練習を頑張ったら何かを買ってあげよう」といったモチベーションを上げるための報酬が提示されたらどうでしょう?
一見効果がありそうですが、これではドーパミン作動系が作動せずにやる気がなくなってしまうと言われています。これをアンダーマインニング効果といいます。
また不思議なことにドーパミン作動系は他者から報酬を受け取ると反応しませんが、自分の手足を使って時間を費やすと自己報酬系が作用します。
人からの目標を立ててもらってもダメだし、立てた目標も自分で掴みとらないとダメということです。こうやってみると本田選手はやる気スイッチの押し方は理想的ですね。
やる気スイッチはどこにあるんだろう?
やる気スイッチはすでに頭の中に持っています。
しかし押せるのは自分だけです、自分で目標を立てて予想外の報酬を得たときにだけやる気スイッチは作動するのですから。
どうしてもやる気が出ないときは知らない場所や、新しい知識など予想外の出来事に出会える場所に行って見ると良いかもしれませんね。
参考にした文献、HP
リハビリテーションのための神経生物学入門 森岡 周