【文献紹介】義足のデュシャンヌ歩行にシュロス法を試みてみた文献

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デュシャンヌ歩行の改善方法を調べてみてたら、面白い試みをされていたのでご紹介。

タイトルは「義足歩行時にデュシャンヌ歩行を呈した大腿切断者に対する シュロス法適用の試み」です。柳沢和彦先生と浅田啓嗣先生による2015年の文献です。序文の要約がこちら。

 大腿義足歩行獲得のための理学療法における考慮点 としては,義足ソケットとパーツの選択,アライメン ト調節,断端痛の緩和,体幹および下肢の筋力と関節 可動域の獲得1),加えて,大腿切断による身体の質量 および重心変化があげられる2)。しかし,これらの点 に配慮して理学療法プログラムを実施しても,義足側 体重支持が困難な症例は珍しくなく,さらに,義足歩 行の異常を示すデュシャンヌ歩行と言われる過度の体 幹の側屈がしばしば見られる。

<中略>

今回,大腿義足での体重支持が困難でデュシャンヌ 歩行を呈する症例に対して,新たなバランス戦略獲 得のためにシュロス法3)に基づくプログラムを導入 し良好な結果を得た。

デュシャンヌ兆候といえば、トレンデレンブルグ兆候と同様に中殿筋の筋力低下から起きる現象とされていますが、中殿筋の筋力が十分でも起きてしまうことがあるし、弱っていても単純に筋力トレーニングをしても修正できないことが多いと思います。

なので重心線を意識して体幹アライメントを修正して、中殿筋が正しい位置とタイミングで協調的に発揮できるように体幹を操作するのがポイントなのだと思います。そこでシュロス法がでてくるわけです。

シュロス法とは側弩症治療のた めにドイツで発展してきた理学療法プログラムであ る。脊柱弩曲異常に対し,身体を肩・胸・腰・骨盤のブロックに分け,それらのブロックの3次元的な位置 関係を評価する。その3次元的な位置異常を修正する ため,他動的な治療を加えるだけでなく呼吸運動を中心とする自己修正運動を行わせるのが特徴である。小 の側弩症だけでなく高齢者の姿勢変形に応用され, ヨーロッパ・アメリカ諸国で施行されている4)。

僕がシュロス法は知ったのはつい最近で、中村尚人先生が日本語に訳してくださった2015年くらいだと思います。世界では多く広まってる考えのようです。

ちなみに中村尚人先生訳のシュロス法の教科書はこちら。

 

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実行された治療法はコチラ。腹部をシリンダー状に膨らましたまま保持して体幹筋トレーニングと骨盤挙上抑制位での腰方形筋収縮、難易度を上げて立位でトレーニングの3週類。

側弯症向けに開発されてるから当然かもしれませんが、デュシャンヌ歩行の治療で典型的な理学療法と違って中殿筋を目標にしていないのが面白い。

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1週間の変化がこちら。肩のラインが揃ってきてデュシャンヌ跛行が軽減しているのが分かります。右股関節が内転位に配置されるようになり、中殿筋が収縮しやすい環境になっているのが分かります。

体幹筋exを丁寧に重ねることで下肢の床反力をまっすぐに捉えられるようになったということなんでしょうか。

デュシャンヌ兆候がでているからって盲目的に中殿筋を強化すればいいわけじゃないよーっと教えていただきました。創意工夫していきましょう!

以上、文献紹介でした。

引用文献

柳澤和彦, 浅田啓嗣,義足歩行時にデュシャンヌ歩行を呈した大腿切断者に対するシュロス法適用の試み,徒手理学療法 15(1),pp.15-19, 2015.