頚部骨折・転子部骨折の術式の適応は、実際どこがポイント?

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病院で働いていると大腿骨頸部骨折と転子部骨折の患者さんと関わることは多いのですが、

「この人はなんでこの術式の適応になったんだろう?」とよく考えます。

だって必要じゃないですか。

僕たちはOPEをするわけではないのですが、チームの一員として手術の適応に詳しくなるのは必要なコト。

だいたいは骨折時の単純画像から予想が当たるんです。でも術後写真をみてみると予想違いもしばしば、、

こんなとき「Drはどうして3本スクリュー入れたんだろう?」と考え込んでしまいます。

教科的にはガーデンの分類とかから、骨折部や周囲の損傷具合を予想して

1型なら3本スクリューの適応内など考えているのはわかるんです。

しかしどーにも、僕の考えるこのくらいの骨折なら人工骨頭かな?と考えた答えと、

実際に行われた術式の適応に差がみられるんです。

なので実際に術式の適応のポイントを整形Drに教えていただきました。

まずは血流の違いを考えよう!

まずは基本の復習から!

まず骨折で重要なのは血流です。どこに血流が多くて、そして少ないのか。

ポイントは「関節内骨折」「関節外骨折」の2つです。

むかしは大腿骨頚部骨折のことを内側型、転子間骨折のことを外側型と呼んでいました。

たまーに頚部骨折と転子間骨折を混同して、頚部骨折と言ってしまう人がいますが注意が必要です。

通常はDrが頚部骨折というと内側型を指しています。

関節内骨折は特殊な血管の分布なため血流に乏しく、関節外骨折は血流豊富です。

血流が多い=骨癒合しやすい

ですから基本的には、

関節内骨折には人工骨頭置換術が適応となり、

関節外骨折にはPFNAのような骨接合術が適応になります。

まとめると下の表のようになります。

次は術式の適応の部分を詳しくいきましょう。

関節内外の分類関節内骨折関節外骨折
部位の分類頚部骨折転子部骨折
血流乏しい豊富
術式の適応・人工骨頭

・3本スクリュー

・骨接合術:

PFNA

CHS

γネイルなど

大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折の術式の適応

転子間骨折(外側骨折)の術式適応

まず転子部骨折の術式適応から考えますけど、転子部骨折の適応はとっても単純!

骨接合術1択です。

ズレていようと、いまいと骨接合術1択。人工骨頭を選択することはありません。

骨接合術の種類はというと、CHSやγネイルが使用されます。

最近では、PFNAなど¥(えん)ネイルと呼ばれて、γネイルが改良されたものを使って固定することも多いと思います。

頚部骨折(内側骨折)の術式適応

頚部骨折の術式適応は3本スクリュー(CCHS)と人工骨頭(BHP)があります。

この2つ選択肢があるところが悩ましいですが、

3本スクリューで止められないなら人工骨頭と覚えておけばいいでしょう

2つの適応の違いはレントゲンなど画像検査で確認します。

基本的にはレントゲン画像を撮影、確実な情報をえるためにMRIを考慮するといったとこでしょうか。

ここでPauwelsやGardenの分類が必要になります。

正面像からpauwelsの分類を使って3本スクリューの適応を考える

pauwelsの分類

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画像引用:TOK2.com

pauwelsの第1度のように骨折線が水平に近く、骨頭がアッパーを喰らったように上側に転がるようなら3本スクリュー(CCHS)の適応が考えられます。

反対に第3度のように骨折線が垂直になり、下に骨頭が転がるようなら人工骨頭コースです。

2型は微妙な判断が求められますねー。後述する側面像との相談になるかと思います。

解説として血流の損傷からも説明できますが、骨折部に荷重をかけたときに圧着できる角度かどうかが重要です。

あとはレバーアム。ある程度の整復はされるのですが、下に転がった位置では荷重時の骨折部へのアームが延長されてしまい、

3本スクリューが負けてしまいます。よって人工骨頭の適応になるのです。

重要なのは側面像

3本スクリューの適応について正面像から書きましたが、実は側面像がポイント。

たとえ正面像でずれていなくても、側面像で確認が重要になります。

側面像で後ろに倒れると(後方回旋)、前内側にある外側・内側の大腿回旋動脈を損傷してしまい血流が断絶します。

これは側面状での記述はネットにも少ないですが、ガーデン分類で言えば3〜4型になるそうです。

この状態で固定しても骨頭壊死のため再手術になりかねません。

gardenのstage分類

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画像引用:minds.jcqhc.or.jp

まとめ

まずは関節外骨折か関節内骨折かをしっかり見極めましょう。

関節外骨折なら安定のPFNA、関節内骨折なら画像を詳しくみて適応を考えてみましょう。