前捻角とは?役割とクレイグテストを使った評価方法

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前捻角は、基礎運動学では正常な角度は10〜30度といわれています。

ですが年齢によって角度が変化していくので、

新生児は30〜40度、成人になるころには12度程度になるそうです。

このように成長する過程で角度が小さくなるのですが、

これは腸骨大腿靭帯の張力など前面から押さえつける力が要因。

成長とともに立位をとって股関節を伸展する機会が増えるため、張力と荷重によって変化するのでしょう。

次に役割をみていきましょう。

前捻角と床反力からみた股関節の安定性

立位

立位を矢状面からみてみましょう。

前捻角があることで股関節と膝、足関節の床反力の通り道が一致しているのが分かります。

骨で支えると筋や靭帯はムダな力を使わなくていいですから、効率よくてエコなのです。

もしも前捻角度が大きいとどうなるでしょうか?

大腿骨頭は臼蓋の外にでてしまい、骨盤の乗る面積が小さくなってしまいます。いわゆる臼蓋被覆率の減少です。

これでは床反力の通り道からずれてしまいますし、不安定なので十分に荷重を受け止めれません。

体はなんとか股関節をうまく使おうと代償して、安定させようと頑張ります。 具体的にはどうするのか?

答えは、股関節を内旋して代償します。 内旋することで、被覆率を増やしてかばうわけです。

しかしこの状態では膝が内側を向いてしまう「Knee in,toe out」になってしまい、ACLが危険に晒されてしまうのです。

前捻角が大きいとジャンプでACL損傷を起こしやすい?

右ひざ

膝が内に向いた状態で外反を強制されるとACL損傷のリスクが非常に高くなります。

外反強制の動作はジャンプの着地失敗やアメフトのタックルが良く例に挙がります。

これの予防は足部と膝の向きの一致した動きです。knee in ,toe outをそもそも作らないようにするのです。

しかし前捻角が大きいことが原因で股関節内旋をかけていれば、これを考慮して対策をしなければいけません。

なので評価が重要になります。

前捻角の評価にはクレイグテストを使おう

臨床場面で前捻角を評価するには、クレイグテスト craigs testを使います。なかなか教科書に書いてないのですが、いちいち画像をとるわけにはいかないので重宝します。

やり方はですが、

  1. まず腹臥位になります。
  2. 計測側の膝を90度屈曲して、大転子を触診します。
  3. 大転子が最も張り出すところまで股関節を内旋します。
  4. 正常は8〜14度程度です。これ以上は過度な前捻角、これ以下は後捻しています。

動画はyoutubeより転載です。

いろんなバリエーションの指導が必要

ちなみに後輩が昔、バレーをやっていましてACLを断裂したのですがその子はジャンプの踏切時に切れたそうです。

どうやらジャンプの踏切時のACL損傷は経験的ですが多いようで、着地などの典型例だけでなく競技やレベルを考慮した指導が必要そうです。

あと前捻角が大きくて股関節内旋すると、脛骨の外捻が大きくなるよう、代償するようです。(正常は23度ですがそれ以上になります)

この場合は一見、足部が前を向いていて問題ないようでも、じつはknee in,toe outの状態になっています。

参考にした文献、HP

膝の障害予防トレーニング

 マットゥーゾ 西島晃一 この評価もはずせない

オーチスのキネシオロジー

プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系

基礎運動学

STEP整形外科

標準整形外科学

人工膝関節置換術[TKA]のすべて−安全・確実な手術のために